女性にゆかりのあるいにしえの行事そのままに。
雛流しの神事で有名な淡嶋神社の拝殿には所狭ましと人形がぎっしりと並んでいます。幻想の世界が目の前に広がり、神秘的な雰囲気に呑まれそうになります。
ここは薬の神様とされる少彦名命(すくなひこなのみこと)を祭神とし、婦人病や安産祈願など「女性のための神様」として、昔から信仰を集めております。
昔、紀州徳川家でも姫君誕生の初節句には一対の人形を奉納する習慣があり、また10代藩主治宝(はるとみ)が造った雛蔵には姫や腰元が遊んだ道具が代々納められ、今は宝物殿に移されています。
爪ぐらいの大きさしかない遊具に精巧な彫り物が施され、昔の女性の高尚な遊びを思わせます。
毎年3月3日には、お雛様を白木の舟に乗せて加太の海に流す雛流しの神事が行われ、信仰への一途なこころが伝わってくるようです。