熊野古道に面して建つ、国指定重要文化財の古民家
旧中筋家住宅は、和歌山市禰宜にあり、江戸時代後期の和佐組大庄屋にふさわしい屋敷構えを残す、紀ノ川流域随一の大規模民家です。昭和49年(1974)に、主屋・表門・長屋蔵・北蔵・内蔵・御成門の六棟が、国の重要文化財に指定されました。
屋敷地は面積約2200㎡あり、その周りは土塀で囲まれています。東は熊野古道に面しており、東と南には堀のような水路がめぐっています。水路にかかる石橋を渡ると表門があり、門をくぐると正面に主屋がそびえています。表門東側の座敷は、大庄屋の役所として使われました。
現存する主屋は、今から約150年前、嘉永5年(1852)建築で、三階の望山楼などが特徴的です。主屋北側の二十畳敷きの大広間は、紀州藩からの使者や来客をもてなす部屋として使われました。主屋を建てたのは中筋家8代目の良秘(よしやす 1781-1857)で、彼は紀州藩のお抱え絵師・野際白雪(のぎわはくせつ 1773-1849)に絵を学び、芸術・文化に造詣の深い人でした。