江戸時代の芸術に心うばわれて。
青石を敷きつめた参道は緑のトンネルになっていて昼でもなお薄暗くひんやりとしています。
これから向かう東照宮との対面にわくわくと胸がときめいてくるのを覚えます。
参道を過ぎると、目の前に急な階段、108段の「侍坂(さむらいざか)」が待っていました。
登りつめると、朱塗りの楼門。振り返ると、深い木立の間から、夕暮れ近い和歌浦の海が金色にきらめきながら茫洋と広がっています。
まるで1枚の絵を見るような錯覚に襲われ、しばし時間を忘れて見入っていると、隣に同じように海に見とれている人がいました。
きっと誰もがみな同じ思いを抱くものなのでしょう。
元和7年(1621)、頼宣が南海道(なんかいどう)の総鎮護(そうちんご)として創建された社殿は、「関西の日光」とも呼ばれ、権現(ごんげん)造りとなっています。
また、江戸初期の代表的な重要文化財建造物としても有名です。
漆塗・極彩色の精巧な彫刻、狩野(かのう)・土佐両派の絵による豪華さに目を奪われ、特に左甚五郎(ひだりじんごろう)作の彫刻や狩野探幽(かのうたんゆう)作の壁画は必見です。
鮮やかな色彩を目のあたりにすると、当時の時代が壮麗な絵巻物となって浮かんできます。
※彫刻や壁画の御由緒を東照宮職員が説明しながらご案内します。
詳しくは東照宮社務所までお問い合わせください。