時には青く、時には紅く、城内の庭園で四季の移ろいを感じる。
和歌山城内にある風雅な庭園。天守閣から北側にある裏坂を下り、両手に白い土塀と青石の石垣が迫る小道をサクサクと歩いていくとひなびた茅門が見えてきます。ここをくぐると、静まり返った空間が開け、都会にいるのを忘れてしまいそうになります。
紅葉渓庭園(西の丸庭園)は、徳川頼宣が西の丸御殿に築いたもの。浅野公時代に築かれた内堀の一部と、虎伏山の起伏をたくみに利用した、
どこか大らかな感じのする庭園です。
堀の中に浮かぶ「鳶魚閣(えんぎょかく)」は、雨の日に出かけるとまた格別で、けむるような水面に釣殿がほのかに浮かび上がった時、こころが震えます。
池は山すそから湧き出る泉を利用して作られ、池の中央には舟の形をした「御舟石」があります。
鯉がのどかに泳いでいて、目を楽しませてくれます。
紅葉渓橋をはじめ、土橋、石橋と風情のある橋がたくさんかかっていて、滝の音が何とも心地よい気分。
日頃の疲れが洗い清められるようです。
紅葉の眺めはもちろんのこと、四季折々に趣のある風景を鑑賞できる雅趣豊かな庭園といえます。
苔に覆われた庭園で、お茶を愉しむ。
木造銅板葺きの屋根が美しく映える紅松庵は、紅葉渓にある茶室。昭和48年に和歌山市の名誉市民である故松下幸之助氏が市に寄贈したものです。
数奇屋造りの建物や苔におおわれた庭には、すがすがしくひきしまった空気が流れ、心身ともにすっきりすること請け合いです。
中では気軽に一服を楽しむことができます。